87 夢の土台③「知識とやる気」

それだけあってもダメだってことですな。

初めに自分で作った家に住みたいと思ったのは30代前半、実際に取り掛かったのは39歳の時だからそれまでの間は様々な建築に関する本を読み漁り知識は深めたかと思う。また、その頃はブログでも自分で家を建てた人のものが多くあってそれを閲覧して回っていた。

恐らくきちんと学んだ訳ではないからそれこそ付け焼刃の知識といえばそうなのだが、俺は実践主義者である。家の強度は部材メーカーの計算に任せて難題にぶち当たったらまた知識集めと創意工夫の繰り返しでで乗り切ってきた。

それもこれもやる気があるからできたことだが、母が発病・逝去したことでそれが曇りを見せ始めた。俺はその事を母のせいにしたくなくまた気持ちを奮い立たせようとしてはいたが、どうしても戻らなかった。

家族の応援を得たかった俺は「こんなところに住みたいなあ」と言った母がいなくなったことで気持ちを萎ませてしまった。

それでも、長期に休みがとれる時期になると現場へと足を向けていたが、行かない時間が長すぎいつも周りの草刈りで終わってしまっていた。

その繰り返しが何年か過ぎ、またその繰り返しにうんざりしているうちにどんどん木材は劣化していったのである。いつしか全体に掛けていたビニールシートさえ風に破れてしまっていた。

そして、あの台風がやって来たのだ。

閑話休題
この連載のさなか、大切に思いたい人ができました。何より本物の「Happy ever after」を目指したいです。