32 懲り懲り

いつも「どんなもんだい」的な料理記事が多いんですが今回のは失敗談です。

カレーをこしらえた。いつも通りのレシピのはずだった。

時々肉をやわらかくするのにパパイヤを使う。パパインという酵素が肉をやわらかくしてくれる。これ以上効果のある果物を俺は知らない。実際薄切り肉に使うとそれこそキーマカレーかと思うくらい肉が溶ける。

今回のパパイヤはパパイン成分が強かったのかもしれぬ。調理中親指の先にほんのわずかな傷があったらしい。パパイヤを肉と合わせている時にずいぶんとしみた。今までになかったことだ。「ほう、パパイヤは俺の肉も溶かすのか」と思いすぐに水道水で手を洗った。

今回失敗があるとすればパパイヤの果肉をも投入して煮たことなのかなと思う。いつもならカレーが甘くなるのを避けるためできるだけ果肉は入れないようにするのに。

お約束のカレーは何食か続く。無論1回目は美味しくいただけた。

一晩おいたカレーは煮込み効果で旨くなる。しかし様子が変だ。なんだか白いものが浮いている。一晩で腐るはずはなかろう。ちなみに今回のカレーはいつものジャガイモニンジンタマネギ肉にシメジも入れてみた。シメジにたんぱく質が含まれているならばパパインと反応して何か違う物質ができるのだろうか。そんなことも考えながら匂いを嗅ぐといつもとは違う匂いがしたような気がした。

元来食べ物を粗末にはできない質で火を通しながらかき混ぜると異質な匂いもなくなったから気にせず食べることにした。まだ数回分の一しか食べていなかったから。

三食目、匂いはもうすでに気のせいでは済まないくらいになっていた。さすがに三食目は飽きてくる。そのため、カツカレーを予定していた。カツを揚げたならカツ定食でもよさそうなものなのに、どうも予定は守りたがる。匂いを我慢しながらカツライスにカレーをかけて食らった。もはやカツカレーを楽しむどころではない。

我慢の限界は四食目にやって来た。泣く泣くカレーは捨てることにした。

ちなみに腹の調子はすこぶる良好である。(法事で親戚中弁当にあたった時に俺だけ大丈夫だったからあまりあてにはならない)

もうカレーにパパイヤ果肉は入れないようにする。(半分使ってあと半分を冷凍にしてあるヤツの使い道をどうしようか)