82 波音を聞きながら本でも読んでいたい

南の島が呼んでいる。

ただ、寒いからだけなのかなあ。旅の話が出て、何も考えずに出た言葉が「沖縄に行きたい」だった。ただ、よく考えると戦中派の話を聞いて育った世代、若かった頃は沖縄はただでは行けない所という意識をもっていた。

ひとり旅に出る時は圧倒的に北が多かった。だからいまだに九州本土は全滅だ。それでも与論には行ったことがある。

その時も本でも読もうと羽田で1冊珍しくハードカバーの本を買って行ったのではあったが飛行機の中で9割方読み進めてしまい、現地で残りは読んだがあっという間だった。

つくづく旅に出ても夜以外はあまりのんびり過ごすことがない。映画「めがね」で言われていた何もしないをする才能は俺には皆無だった。

無駄にアクティブになる。無機質に動き回り、見た景色も瞬間のもので切り取られていった。その時でさえもういい歳だったから開き直っていたのかもしれないんだが。

ただ、その時に見た明るいブルーの海と白い砂浜は心には焼き付いていて、ただルーチンをこなす毎日の中でふとその景色を思い出すとそこで今度こそ何もしないをしたい気持ちに駆られるのだ。

今度は3冊くらい本を持って行こうか・・・。いや、何もしないなら要らないじゃないかとつくづく代わり映えしない自分に苦笑する。