104 飯
作る気が起こらんです。
自分一人だけのための飯を用意する気にならない。不経済だなと思う。
一人暮らしの時期が長かったが、外食することはあまりなかった。作る気が起きないこともままあったが、手を抜いても食う飯は自分で用意していた。
それが今では毎度毎度二人分の飯を作る。せめて作ることを楽しみたいと思う時には少し凝ったものを作ろうとする。それはそれで楽しい。疲れて作りたくないと思っても作らないことはない。
だが例えば親父がデイサービスに行っている日の昼食などは全く作る気にならない。そんな時は外食してしまう。栄養も偏るし不経済だ。
かなり空しい気持ちになることがある。二人分作っておいた夕飯を食われてしまう。それこそもう一度作る気にはならない。だが、すぐ食えるところに置いておくのがいけないのだと思い直しまた一手間が増える。
冬の寒い時期に冷たい飯では切なかろうと保温できる一人用ジャーを買っておかずを入れておくようにしている。十分な量だと思っているのに冷たくなったものまで食われる。そして、残ったものを俺は食う。冷たくなったものを温める気力がない時もある。やりきれない。もう飯というよりは餌を食っている気にさえなる。
「モウシワケナイ グチリマシタ」
食べられるうちが華だという。そのためにまた保温ジャーに飯を詰めて俺は仕事に出かける。そもそもそんな飯を食う姿を見たくはないからそうしたんだと思いながら。