92 冬に夏の花を思う

ルコウソウは繁殖力が強いんだそうです。

いつの夏だったか日差しを避けてグリーンカーテンをこしらえた。何回目かのグリーンカーテンだったからその年はちょっと凝ってみようかと猫の額ほどの庭にアーチなど誂えてしまった。本当はその葉陰でお茶でもできたらと目論んでいたが、あっという間に夏は過ぎ去ってしまい片付けに閉口した。

それに懲りたのかその夏を最後にグリーンカーテンはしていない。だが猫の額よりさらに狭いプランターから次の年もはたまたその次の年もルコウソウは花を咲かせた。ルコウソウは名の通り赤い花が特徴的なのだろうが白い花も咲く。いつしか庭に咲く花は白い花だけになっていた。

昨年、桜を始め花の時期が総じて前倒しでやって来た。なのにルコウソウはいつまでたっても芽を出す気配もなかった。しかし、きちんと命はつながっていた。夏も真っ盛りの頃やっと芽を出しているのを見つけた。

確率論的にどうなのであろうか。いくら繁殖力が強いとはいえ発芽するには条件が整わないといけない。そしてそれが猫の額ほどの庭の小さなプランターに種を落とすことが絶対条件である。(他の場所はコンクリートのたたきだから)数多くの種をつけ運よくプランターに出会えたのはいくばくか?しかも、ルコウソウはつる植物なのだ。圧倒的にプランター外に種を落とすことになる。

だが、それきり日々の生活の中で芽を出したことに安堵したのかあまり意識的に見ることはなかった。

しかし、ルコウソウは花を咲かせた。もう秋の気配がしている頃だった。見ないでいる間に大きく育っていたのだ。

しかも昨年は久しぶりに赤い花をつけた。隠し持っていた赤の遺伝子が目覚めたのだろう。

なんてことはない花なのだが、ルコウソウの葉は涼しげでそれで選んだのであった。そんな花でも俺にいろんなことを教えてくれる。

今年もその花を楽しめるといいな。

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赤い花の画像はなかった><