41 バナナの記憶

そりゃやっぱりバナナは好きでして・・・。でも。

恐らく昭和40年代の頃の話。祭の日に家族で出かけた。辛うじてまだバナナの叩き売りをやっていて見た記憶がある。当時まだバナナは高級品だったのか?高級品でしかも足が速いからそれが出回るのも分かる。しかし俺はそれが大の苦手。半径1mの距離に近付きたくないというのはきっと見かけなくなった今でもそうだろう。「シュンギク」の記事でも書いたが、匂いのきついものがダメなのだ。

それとはドライバナナ。今出回っているバナナチップとは違う。葉巻のようにセロハンで巻かれたどす黒いバナナである。知っている御仁はいらっしゃるだろうか。

この祭りの時にはやけに苦手なものが重なった。デパートで見た中国なんちゃらの手術の映像、ドライバナナの匂い、そしてちあきなおみさんの「喝采」。視覚、嗅覚、聴覚のトリプルパンチだった。

まだ少年だった俺にはその中国なんちゃらの手術の映像はどういった経緯で流されていたのかは分からない。ただ、生々しい映像でそれ以来内臓系は勘弁だ。

ちあきなおみさんの「喝采」は正確にいうとこの時苦手になった。上記二つの記憶が呼び覚まされるからかもしれない。今でも時々同席の人がカラオケで歌うのを聴くが否応なしに記憶は呼び戻される。気持ちよく歌っている顔を見ると嫌な顔はとてもできないのだが。

その祭がもうじき行われる。幸運なことに祭で思い出すものは腹にまで響く和太鼓の鼓動であり乾燥バナナではない。今度はいつ行けるのだろうか。

つまりは祭が近いからこんなことを思い出したのではなく、折からの歯肉炎でバナナを(本物のね)齧ったら出血したからに他ならないのだ。

こんな話でゴメン。