218 余裕をもっていたにもかかわらず俺は急がずにはいられなかった
タクシーの運ちゃんが天使に見えた(笑)
いよいよ会えるという当日、俺は仕事を早めに切り上げてタクシーを呼んだ。しかし、なかなかそのタクシーは現れない。余裕をもっての出発だったが、キリのいい時刻に最寄り駅を出るその電車に俺は乗りたかった。予想よりも10分ほど遅れてそのタクシーは来た。自分の車で行くならば間に合うかどうかギリギリのラインだった。
するとしょっぱなから車の混雑、早々に諦めかけて乗りたかった時刻の電車を運転手に告げる。すると運転手飛ばす飛ばす。間に合うようにしてくれている。車の混雑がしょっぱなの1か所だけだったのも幸いしたが、結局、時刻よりも余裕をもって到着できた。
グリーン車に乗る手配までできる余裕ぶりだった。
東京駅でかなりの時間を有することとなったが、弁当を買ったり、一服したりして列車の到着を待った。間違えて乗りさえしなければあとは確実に俺を運んでくれる。乗る新幹線の列車が到着すると何度も間違いがないかを確かめる。
やがて列車は発車する。俺は弁当を広げ食べ始める。もう夜だから山側の窓際に座っても富士山は見えないなと思いながら・・・。
すべて順調に来た。しかしそれよりも早く俺のこころは到着駅にいたのだと思う。
人通りが少ない夜の道で早く手をつなぎたかった。
217 離れていても
遠く西の空を想う。
今日の空はどんなだろうか。
春の味覚を満たしたくて菜の花の辛子和えなど作ってみる。ほろ苦さ、これが春の味。また一つ、食べてもらいたいものが増えた。
すぐにそんなことを話したくなる。実行する。
ぐんと距離が近くなる。
それじゃあ、また新しいレシピを手に入れようか・・・。
そういえば、大葉を巻いたつくねは旨かったな。優しい味がした。旨いもんが並ぶところで食べた何よりも記憶に残ってる。
216 生まれたままがいいですよ(後編)
春一番が吹いたな。
さて後編である。前編では自分の体を改変することについての抵抗感があることを書いた。しかし、それだけでは済まないのである。
つまりは俺の相手にもそれを求めているところがあるんだな。よくアプリなんかでもネックレスなんかが見えるともういいですとなるし、入れ墨なんかがあれば(タトゥーを含む)その先は読み進めない。茶髪も少しだめかもしれない。
そんなある日。それはオフ会があるというその日。俺は新宿でその人と会った。お茶をしてまあその先は言わずもがなだ。
シャワーを浴びる段になって初めてその人の生まれたまんまの姿を見た。そしたら体のあちこちにジュエリー系のシールの装飾が施されていた。
もう駄目である。
ただ謝ってその場を後にした。申し訳なかったが、チェックの行き届かないところでそうなっていたのは想像だにできず、また経験の浅さからそういう行動をとらざるを得なかった。
オフ会で口が重かったのはそのせいもあったかもしれぬ。
苦い思い出である。
やっぱ、生まれたまんまがいいですな。