183 心、静かに

空を見上げる。そこにはただ夏雲があるだけ。そして、手仕事を始める。

静かな夏の昼間、蝉の声も聞こえない。多分音はしている。だが、静かだなとだけ思う。歳を取ってから時々夏にそう感じる。心も静けさに支配されているのがわかる。こんな日は・・・。

手仕事をする。本当に精神状態に左右されるなと思う。乱れていればでこぼこに、心静かなら細く強くどこまでもまっすぐに。

そうして出来上がるものがあるならば優しい風合いのものがいい。

そんなことを考えながらも静けさの中に耳を澄ませている。