151 峠の釜めし
目がないんす。
信州に行った折朝飯食ってから全速で向かったから昼飯のことが頭になかった。開場10分前に到着し開演は1時間後。その時腹がぐうと鳴った。土地勘がなかったから持っていたスニッカーズを頬張り開演に備えた。
すべて聴き終わり余韻に浸っているとまたもや腹の虫が騒ぎ出す。しかも旅先、なんかうまいもん食いたい。
ここは予定通り釜めしだ。
すかさず高速に乗り道を戻る。
「はぁ、信州に来たのに5時間強しかいなかったな」
実に久しぶり。会いたかったよ。
めでたく釜めしとの再会を果たすとおもむろに食い始める。
「ん?なんか旨くなってね?」
それは空腹という調味料のなせる業だったのかもしれない。変わらぬ具材に安心しながら完食。いやいやまだ漬物があるんだった。
それは遠い日、新潟に向かう電車の中、家族で食べた釜めし。そこにルーツがある。ビニルパックの急須に入ったお茶、冷凍みかん、そして釜めし。その頃俺はと言えば漬物嫌いで家ではまず食べなかったのが釜めしに付いてくる漬物だけは別だった。特にわさび漬けと小茄子の漬物。後々まで大事に取っておいて箸でつまむ時には極上の幸せを感じたものだった。
そんなことを思い出しながら最後の仕上げをする。これも何も変わっていない。
すっかり満腹になって道路情報を見ると都心に向かう道は20キロの渋滞。ふと妹の家に寄せてもらおうかと頭を過った。いやいや、急に行っても困るだろう。明日は休み、のんびり帰ろう。
幸い、俺がその道を通る頃にはほぼ渋滞も解消されていた。
あれからもう1週間か・・・。
話はガラッと変わって、今朝は手違いから野菜の総菜を2品作らねばならなくなった。昨日の磯香和えがまだボウルにあるというのに今作らねば野菜をダメにしてしまう。ほうれん草は胡麻和えに、かぼちゃはレーズン入りのかぼちゃサラダに。
レーズンを湯に戻す段になってボウルが足らないことが分かった。そこで登場は釜めしの釜である。こうしてかぼちゃサラダができあがった。めでたしめでたし。