143 約束

早いものだなあ。

今行きつけのゲイバーに行き始めて1年が過ぎた。時にはマスターと言い争いまがいの話もしたが行き続けている。

そして一つ約束がある。些細なことだが果たさないといけないな。

なんだかよく子どもの頃の話をする。そんな話の中からグミを食べたいという話になった。

あまり注意してはいなかったのだが実は俺の畑の脇にグミの木があった。去年はシーズン終わりでギリギリ残っている実を採ったのだが、なかなかバーに行けなくて冷凍しておいたのがいけなかった。とても口に入れるものではなかった。

今年もそろそろなる頃だ。

そういえば子どもの頃は実のなる木が周りにたくさんあってよくとって食べたものだ。恐らく一番気に入っていたのはクルミ。頭皮にできものができるくらい食べた。

またある時は桑の実。ワインにならないかと瓶に詰めて家にあった酒と混ぜ隠れて飲んだこともまた懐かしい思い出だ。

今の子どもたちはそんなことはしないのだろうね。そこらへんになっているものは誰かものかもしれない。でも採ってもだれも咎めだてすることもない。そんなおおらかさを失ったからなのかもしれないと思うと寂しくなるね。