99 崩せ崩せ!カラオケ合戦

前回の記事の続きなんです。

 

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 ひとしきり眠ってから呑みに出かけた。

ずっと気にしていたことがある。ゲイの知り合いが飛躍的に増えたのだが果たしてその中から友と呼べる人はいるのだろうか。友でなくとも会えばフランクに話ができる人はいるのだろうか。

そういう関係を大切にしていきたいと思った。では一体どうすれば?

その日、同席の人は何度か会ったことのある人。ふと以前にその人が俺のことを苦手だと言っていたと耳にしていた。「何を話していいかわからない」と。

恐らく俺は知らぬ間に壁を作っていたのであろう。だがその人はせっかくの同席なら話したいと思ってくれていたのではないか。だとしたらすることは一つだ。その壁を崩せ。俺のできる方法で。

まずは話を聞いているよという姿勢をできるだけ表すようにした。相槌で始まり話題が膨らませられそうになると乗っていった。

カラオケの話になり、最近は歌っていないと言う。それでもマスターは前にマイクを置いた。

俺もその人も渋ってはいたが、採点機能の話が出ると真っ先に興味を示したのは俺だった。するとその人はマイクを取った。

最近歌っていないという人が歌っている。いつしかカラオケ合戦になっていた。点数を競うわけでもない。歌っていて楽しかった。その時を共有した気持ちになった。

今でもその人が俺のことを苦手かどうかはわからない。ただ一つ言えることは今度会ったら何気ない会話ができるだろうということだ。

そんな風にして友と呼べる人もできるのかなと思う次第である。