55 散々吟味した挙句目的を果たせなかった話

俺はカツカレーが食いたかったんだー!

食いたいものがあるとまずは自分で作れないかと考える。だが、いろんな制約はあるから、そうとばかりも言っていられない。

そりゃ制約を乗り越えて目的を果たすのは楽しいし、より一層旨いものにありついた感がある。

カツカレーが食いたい。

そう思ってもう2週間くらい経つ。さすがに自分でカレーを作り、カツも揚げるとなると腰が引ける。

時間が経てば経つほど上等なものでなければならないと思ってしまう。とはいえ、庶民的な味でいいんだけれどもね。俺の上等はたかが知れている。

食べたい気持ちが募る中、ネットでどの店にしようか吟味を重ねた。凡そチェーン店なんだけれどもね。俺の上等なんてそんなもん。

カツカレーを吟味するのに大きく分けて2つの着目点があることに気付いた。
カレーで攻めるか。
カツで攻めるか。

両方とも旨いに越したことはないのだが、カレー屋にするか、とんかつ屋にするかということだ。(後になって蕎麦屋という変化球も出てきたのだが)

しばし考える。カレーはどこでもそこそこの味が楽しめハズレというのはあまりないだろう。しかし、カツの方は当たり外れが大きい気がする。カレー屋のメニューを見てみると異様に形の整った楕円形のカツ。旨いのかもしれないが、人工的な見た目で敬遠したくなった。

とんかつ屋に絞ろう。

時間と距離から考えて近くのショッピングモールにあるとんかつ屋にした。(ちなみに昼食だ)

少し時間を遅らせたおかげですぐに席に着くことができた。品書きを見る。

「さて、カツカレーはと・・・」

ない!ないのである。ネットで調べたときにはその店にはカツカレーが確かあったはずだが品書きにはない。お子様メニューにはあるのだが俺はおっさんだ。

裏メニューで作ってもらえないか一縷の望みをかけて聞いてみた。(もちろん、裏メニューで作ってくれとは言えない)

「カツカレー、ないんですか」

ダメだった。仕方なくロースカツの定食にした。

カツの衣はサクサクで肉の旨みも後追いでやってきて舌鼓を打てた。もう少しのところでカツカレーを食べたかったことなど忘れるくらいの満足度があった。ランチなので880円也。

カレーではあのさくさくを味わうことができなかっただろう。これはこれでよかったのだ。と、思うことにした。

そしてカツカレー熱は続く・・・。